坂道では自転車を降りて
彼女を後輩と一緒に部室に帰し、俺は階段教室へ向かった。落ち着け。彼女は大丈夫だと言った。あいつが彼女を傷つけたりする筈がない。そう自分に言い聞かせる。

行ってみると、教室は静まり返っていた。真っ暗な部屋の中、川村は床に倒れていた。
「川村?」
声をかけると、大きなため息が聞こえた。
「今度はお前かよ。一番見たくねぇ顔だ。」
よかった。具合が悪いわけではなさそうだ。

「大丈夫か?」
「帰れよ。1人にしてくれ。」
「彼女に、何かしたのか?」
「別に、、お前になんか教えてやるもんか。」
「。。。。。」
「俺、演劇部辞める。もう無理。」
「。。。。」
「。。。ずっと、そばにいられる筈だったのに。」
「うん。」
「お前さえいなきゃ。。」
「うん。」
「もっと早く、俺のものにしときゃよかった。」
「うん。」

「川村は、優しすぎるよ。いつでも彼女を守って、自分のことは後回しにして。」
「だって、あの子が好きだったんだ。ずっとこのままでいたかったんだ。」

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