坂道では自転車を降りて

「大野さん、大丈夫だった？」
「大丈夫だ。お前を助けてくれって、言ってた。」
「あいつほんと、なんも分かってねぇんだな。」
「そうかもな。」
「ごめん。俺、けっこうひどいことしたかも。」
「何したの？」

不思議と怒りは湧いてこなかった。俺はいつの間にか川村の方を心配している自分に気付いた。
「胸ぐら掴んで、突き飛ばした。怪我してるかも。」
「お前。。」
絵が浮かんでしまい、恐ろしくなった。さっき彼女は大丈夫と言ったが。

「バカ過ぎて、むかつく女。でも、お前が一番むかつく、後から来て。。」
「。。。。」
「返せよ。」
「それはできない。」
「お前なんか、すぐに振られろ。。。」
「。。。。」