坂道では自転車を降りて
「多恵。ずっと、ずっと好きだったんだ。誰よりも前から、ずっと君を想ってたのに、気付いてなかったの?」
「ごめんなさい。やっと気付いたの。川村くんが好き。」

 2人は抱き合い口づけを繰り返す。川村の唇が彼女の頬を耳を首筋を這い回り、手が喉から鎖骨へのラインを優しくたどる。2人は抱き合ったまま床に倒れた。

「多恵を俺のモノにしちゃうよ。いい?」
「でも、神井くんが。」
「あいつと俺とどっちが好きなの?」
「川村くん。」
「だったら、いいじゃん。」
「うん。」
「大丈夫だよ。多恵はもう誰にも渡さない。」

 川村は彼女の制服のボタンを上から外し始めた。頬を赤らめながら横たわる彼女。細くしなやかな彼女の肢体が闇の中で白く浮かび上がる。突然、重いドアが開いた。

「おいっ。何をやってる。」

川村はとっさに彼女を後ろに隠した。俺は2人の間にずかずかと割り込むと、彼女を奪おうと手を伸ばす。
「多恵。」
「ダメだ。」
「やだ、やめて。」
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