坂道では自転車を降りて
　帰り、みんなにからかわれながら、俺は彼女を自転車の後ろに乗せた。彼女は少し遠慮がちに荷台に座った。もう俺には触れない。彼女を乗せるのもこれで最後になるかもしれないな。そう考えて胸が苦しくなった。俺は自転車をゆっくりと走らせた。坂道まで来たので並んで歩いた。

「公演、無事終わってよかったね。」
「そうだな。」
本当によかった。
「お疲れさまでした。」

「君は、本当に、大変だっただろ。その、いろいろと。」
「そうだね。本当にいろいろあった。２学期は成績ぼろぼろ。もう勘弁して欲しい。笑」
「冬休みはゆっくり休んで勉強に励め。な。」
「。。。。まだ、話が残ってるよ。君と私の。」
「それは、、、、明日でいいかな？多分、すぐ終わる話じゃない。」
「そう？」
頭の中で、さっき聞いた曲がぐるぐる回った。今、ここで、もう一度、付き合ってくれって言ったら、抱きしめて離さなかったら、彼女はなんて答えるだろう。

「さっき、店で泣いてたね。何話してたの？」
「気になる？」
「すげー気になる。」
「悪口言われてたと思ってるんでしょ？」
「しょうがないけどさ。」
「君の話はしてないよ。何も。誰も何も聞かないでくれた。」
「じゃあ、なんで泣いてたの？」
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