坂道では自転車を降りて
「。。。。さっき、キスしたら、いっぱいになった?」
「いっぱいにはならなかったけど、それなりに満足した。それに、そんな事をしても意味がない事もあの時に分かった。だから、もういいの。ありがとう。」
「。。。。」
それは、もう、別れてもいいってこと?

「さあ、私の事は全部話した。君の番だよ。教えて、君の気持ち、君の答え。」
彼女はふっきれたような笑顔で俺を見た。
「俺の答えか。。まだ、ちゃんとは出てないんだ。」
夕べもずっと考えていた。考えても考えても、結局答えが出ない。出せない。こんな事は初めてだった。

「それは困ったね。まだ、時間がいるの?笑。このまま冬休みは嫌だな。」
優しい笑顔。私は大丈夫だから心配しないで。全身で俺にそう伝えようとしている。そんな彼女がかえって痛々しかった。

「電話するって言って、しなかった日あったね。」
「あった。」
「電話するって言った時には、いや、公園に戻る途中だ。思ったんだ。俺にとって大事なのは、君が誰を好きなのかじゃなくて、俺が誰を好きなのかなんじゃないかって。ただ、俺が君を好きだってそれだけで良いんじゃないかって。思ってた。」
「。。。。」
「でも、戻ったら君はいなくて。電話したら、あんな事になってて。」
話すうち、何かがこみ上げて来た。鼻の奥がつんとして、声が震える。男のくせに、情けない。
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