坂道では自転車を降りて
「神井くんが好き。自己中で、ひどい人。でも、好きなの。どうしたらいいか、わからない。離して、私の心を離してよ。私だって、本当はもう嫌なの。楽になりたい。あなたも彼も、、みんな忘れてしまいたい。」
「俺もだ。君が好きで、どうしようもなくて。独り占めしたくて、気が狂いそうなんだ。上手く出来ない自分が、もどかしくて、嫌で、苦しくて、逃げたくなるんだ。本当に、本当に、どうしたらいいのか分からないんだ。」
「そんなのっ。」
「。。。。君が、好きで、、」
「もうやだ。」
「。。。。。ごめん。」
「ばか。」
「ごめん。」
「ばかばか。」
「。。。。」
 二人でその場で座り込んで泣いた。リノリウムの床が冷たい。俺は目を閉じて、ただ彼女を抱きしめ、彼女は俺に身を預け、声を上げて泣いていた。
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