坂道では自転車を降りて
「遅くなってごめん。」
彼女ははにかむような微笑みを俺に返してから、男達に視線を戻す。
「えと、分かりました??」
男達は俺の顔をみて苦笑する。
「ありがとう。助かったよ。彼女かわいいね。じゃあ。」
といって立ち去った。ナンパか?

「可愛いだって。やだ。」
彼女は頬を染めて俺を見ると、慌てて説明する。
「ATMが近くにないかって。。」
俺は相当、不機嫌な顔をしていたらしい。男達は、曲がり角を曲がって消えた。

「あれ、あっちじゃないのに。」
男達を追いかけようとした彼女の腕を掴む。
「行かなくていいよ。大丈夫だよ。」
「でも、違う方に曲がって行っちゃった。」
「他にも用があったんだろ。」
「そうなのかな。」

彼女はまだ心配そうだ。あれはナンパだって教えてやった方が良いんだろうか。
「大丈夫だって。」
「そっか。そうだね。余計なお世話か。」
なんとか納得したみたいだな。

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