坂道では自転車を降りて
「まあ、いいや。さて次は?何しようか?」
俺達は、一緒に遅めの昼食を食べた後、本屋やCD屋、文具屋を巡った。彼女はスタイリッシュな文具や画材を本当に楽しそうに見ていたのに、結局何も買わなかった。大して高くもないのになんでだろう。ちょっと外れたところにある珍奇なモノを売っている店も良く知っていて、中華街も好きだと言った。今度一緒に行ってみよう。
シナリオセンターの近くに古い脚本を沢山取り扱っている古本屋がある。連れて行くと、彼女も初めてではないらしく、棚の場所を知っていた。2人で本を物色し、気に入ったものを見せ合う。お互いの好きなもの、好きな事の話をしながら歩いていると、あっという間に時が過ぎて帰る時間になった。
家の前まで送るのは恥ずかしいらしい。少し離れたところで彼女は言った。
「ここでいいよ。」
「じゃあ、また学校で。」
「うん。絵が描けたら、また持って行くね。」
昼食を食べたレストランで注文の品を待ちながら、書き上がった脚本を渡すと、彼女は「今日はこれが一番楽しみだったんだ。」と言っていた。嬉しいような、寂しいような。帰りの電車の中でも、プレゼントを待ちきれない子供のように、鞄から取り出そうとしては戻し、「ねぇ、どんな話?」と聞いては、「やっぱり言わないで。」と1人で右往左往していた。
別れがたくて、髪に触れようとしたら、彼女は走り去ってしまった。早く家に帰って脚本を読みたいらしい。少し走って、振り向いて手を振る。俺も手を振った。彼女は走って家の中へ入っていった。見上げると冬晴れの空に弓のような月と一番星が光っていた。
「まあ、こんなもんかな。」独り言と一緒にほっと息を吐いた。
俺達は、一緒に遅めの昼食を食べた後、本屋やCD屋、文具屋を巡った。彼女はスタイリッシュな文具や画材を本当に楽しそうに見ていたのに、結局何も買わなかった。大して高くもないのになんでだろう。ちょっと外れたところにある珍奇なモノを売っている店も良く知っていて、中華街も好きだと言った。今度一緒に行ってみよう。
シナリオセンターの近くに古い脚本を沢山取り扱っている古本屋がある。連れて行くと、彼女も初めてではないらしく、棚の場所を知っていた。2人で本を物色し、気に入ったものを見せ合う。お互いの好きなもの、好きな事の話をしながら歩いていると、あっという間に時が過ぎて帰る時間になった。
家の前まで送るのは恥ずかしいらしい。少し離れたところで彼女は言った。
「ここでいいよ。」
「じゃあ、また学校で。」
「うん。絵が描けたら、また持って行くね。」
昼食を食べたレストランで注文の品を待ちながら、書き上がった脚本を渡すと、彼女は「今日はこれが一番楽しみだったんだ。」と言っていた。嬉しいような、寂しいような。帰りの電車の中でも、プレゼントを待ちきれない子供のように、鞄から取り出そうとしては戻し、「ねぇ、どんな話?」と聞いては、「やっぱり言わないで。」と1人で右往左往していた。
別れがたくて、髪に触れようとしたら、彼女は走り去ってしまった。早く家に帰って脚本を読みたいらしい。少し走って、振り向いて手を振る。俺も手を振った。彼女は走って家の中へ入っていった。見上げると冬晴れの空に弓のような月と一番星が光っていた。
「まあ、こんなもんかな。」独り言と一緒にほっと息を吐いた。