坂道では自転車を降りて
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俺は原の頭を診てやった。こっちはこぶになっていたが、大した事はなさそうだった。原は多分、俺に腹を立てているんだ。2学期は原に頼りっぱなしだった。俺は文化祭で突然演出を降りたし、川村は中途で退部、リハでの俺のていたらく、打ち上げでは大野さんの世話まで焼いてくれた。にも関わらず、俺からは何も話さないまま、冬休みが明けて新学期。結局、本は俺と彼女で書きあげてしまった。俺は原を親友だと思っているが、原もそうだとしたら、多少は腹も立つだろう。少しこいつと話さないといけないな。
「ふぅ。」
椅子に座り、棚から落ちた本を片付け始めた彼女を見ていたら、ため息がでた。
めんどくさい。女の子と付き合う事が、こんなにいろいろめんどくさいとは思わなかった。みんな、もっと女の子の気分に振り回されたり、わがままに付き合ったりして、忙しいのかと思っていた。その点では、彼女ならあまり面倒でもないだろうと、勝手に思っていたのだが。何の事はない、彼女ではなく自分の感情や周りのゴタゴタに振り回されて、自分の尻を拭いて回るのに忙しいのだ。
「多恵、じゃなかった。大野さん。」
くそっ。また自分で墓穴を掘った。
「多恵、じゃなかった。大野さん。」
椎名が茶化す。睨むと一瞬すくみ上がったが、こいつには全く効果がない事も分かっていた。
「ごめん。棚はすぐ直すから。」
「ああ、そうだな。手伝うよ。本はあった?」
「お前らも見てないで手伝えよ。」
一年にも声をかける。だいたい、こいつらがいたのにどうして彼女が棚にぶら下がっていたんだ?倉庫から今片付けたばかりの脚立を持って来て、壊れた棚を元へ戻す。本は机の上に積み上げた。その場にいた全員でやるとあっという間だった。
俺は原の頭を診てやった。こっちはこぶになっていたが、大した事はなさそうだった。原は多分、俺に腹を立てているんだ。2学期は原に頼りっぱなしだった。俺は文化祭で突然演出を降りたし、川村は中途で退部、リハでの俺のていたらく、打ち上げでは大野さんの世話まで焼いてくれた。にも関わらず、俺からは何も話さないまま、冬休みが明けて新学期。結局、本は俺と彼女で書きあげてしまった。俺は原を親友だと思っているが、原もそうだとしたら、多少は腹も立つだろう。少しこいつと話さないといけないな。
「ふぅ。」
椅子に座り、棚から落ちた本を片付け始めた彼女を見ていたら、ため息がでた。
めんどくさい。女の子と付き合う事が、こんなにいろいろめんどくさいとは思わなかった。みんな、もっと女の子の気分に振り回されたり、わがままに付き合ったりして、忙しいのかと思っていた。その点では、彼女ならあまり面倒でもないだろうと、勝手に思っていたのだが。何の事はない、彼女ではなく自分の感情や周りのゴタゴタに振り回されて、自分の尻を拭いて回るのに忙しいのだ。
「多恵、じゃなかった。大野さん。」
くそっ。また自分で墓穴を掘った。
「多恵、じゃなかった。大野さん。」
椎名が茶化す。睨むと一瞬すくみ上がったが、こいつには全く効果がない事も分かっていた。
「ごめん。棚はすぐ直すから。」
「ああ、そうだな。手伝うよ。本はあった?」
「お前らも見てないで手伝えよ。」
一年にも声をかける。だいたい、こいつらがいたのにどうして彼女が棚にぶら下がっていたんだ?倉庫から今片付けたばかりの脚立を持って来て、壊れた棚を元へ戻す。本は机の上に積み上げた。その場にいた全員でやるとあっという間だった。