坂道では自転車を降りて
「君のせいでない事は分かってるんだけど。。」
腕に力を込める。
「うん?」
「他の男に抱っこされたりするなよ。」
「うん。ごめん。」
首筋に顔を埋めた。切なくて、情けなくて、イライラする。

「俺、変な事、言ってないよな?」
「多分。」
原っぱの匂い。小さく上下する肩。
「君のことになると、冷静でいられなくて。。。頭がおかしくなる。変な事してないか、怖いんだ。」

「原くん、何か怒ってる?私、嫌われてるのかな?」
「いや、多分、俺だ。」
「ごめんね。原くんと喧嘩しちゃったの?」
「大丈夫。まだ、してない。」
「まだ?」
「今度、ちゃんと話すよ。」
「仲良くしてね。友達は大事だよ。」
「分かってる。」
「原くんが抱きとめてくれなかったら、私、怪我してたかもしれないし。」
「その前に、あいつが来なかったら落ちてねぇだろ。」
「。。。そうかな。」
「でも、今回は、じゃなくて今回も、だな。危ない事をしていた君が悪い。」
「だって、脚立がなかったから。」
「俺達が使ってたからな。待ってたら良いだろ。言い訳すんな。」
「。。ごめん。」

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