坂道では自転車を降りて

「年末のゴタゴタは、もうなんとかなったの?」
「うん。俺の方はね。彼女の方は、分からないけど。」
「原因は、川村?」
「告白られたって聞いて、俺の方が動揺しちゃって。」
「ふーん。まあ、そうだろうな。」

「それに俺、彼女にすげーひどい事したんだ。」
「まさか本当にゴーカン?」
「いや、、そのときじゃなくて。」
「。。。。。ん?」
「いやいや、えーと。なんだ。あれだ。」
「。。。。。」
「川村の事で喧嘩してさ、俺、頭真っ白になって、夜の公園に彼女を置き去りにしたんだ。怖くなってすぐ戻ったんだけど、もういなくて。」
「自分で家に帰ったんじゃなかったの?」

「電話したら、男に絡まれてた。電話口から、悲鳴が聞こえて。。俺もう、生きた心地がしなくて。必死で探したんだけど、何所にいるのか、全然見つからなくて。。」
「げ。それで、どうなったの?間に合ったの?」
「いや、彼女が自分で逃げて来た。俺、何もさせてもらえなくて。。。俺じゃなくて電柱にしがみついて、大丈夫だって言って笑うんだ。抱きしめるどころか、触らせても貰えなくて。俺、本当にもう、情けなくて死にたくなった。だって、完全に俺のせいだろ?ガタガタ震えて、立ってるのもやっとに見えるのに、迷惑かけてゴメンねとか言って、涙も見せないんだ。無理矢理笑って。。で、次の日がリハ。」
「それで、あれか。。そりゃ、きっついな。。。そうだったんだ。うーん。」
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