坂道では自転車を降りて
「神井くんは?なんで、メールも電話もしてくれなかったの?」
潤んだ目で恨みがましく俺を見上げる。俺の心臓がぎゅうぅぅっと締め上げられる。ああもう、この顔、可愛いくて、いじらしくて、反則だ。ズルいぞ。ちくしょう。

「それは、苦手というか、上手く出来なくて。ごめん。」
「今日も、なんかイライラしてる。」
「それもごめん。君が田崎といるのみて、なんか、別れを惜しんでるみたいに見えて。」「は?」
「ごめん。俺がどうかしてたんだ。ずっと会ってないのが、気になってて。」
「だったら、連絡したらいいじゃん。って自分で言ってたよ。」

「。。。。。正直に言うと、忘れてたんだ。新しい舞台のことで頭いっぱいで。気付いたら1週間以上経ってて。君がその間に何してたのか、、急に不安になって。ごめん。」
「。。。忘れてたの?」
「。。ごめん。」
でも、ほんの1週間じゃん。
「じゃあ、怒ってた訳じゃないの?」
「なんで?怒るような事あったっけ?」
別に何もなかったじゃん。
「。。。。。。」

しおらしくべそをかいていた彼女の顔が、みるみる不機嫌に険しくなっていく。あぁ、なんかわかんないけど、ごめんなさいっ。すみません。

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