坂道では自転車を降りて
 彼女、こんなキャラだっけ?本当に連れてっちゃって、いいのかな?思いながらも、俺はそそくさと彼女の鞄を拾って前籠に放り込む。彼女は俯いたまま荷台に乗ると俺の腰に手を回した。

「大野さん、なんか、、最近、、大胆だね。」
 言われて恥ずかしかったのか、腰を掴む手にぎゅっと力がこもる。混乱しきった2人を乗せて、自転車が走り出す。
(なんか可哀想っていうか。)
頭の中で原の声がした。
(一度誰かとやっちゃうと、そうなっちゃうのかなって思って。)

 彼女がこうなってしまったのは、やっぱり俺のせいなのかな。罪悪感が押し寄せる。今日だって、放置して不安にさせて、なだめようとしたけど、逆に苛めて、もっと不安にさせて、帰るフリまでして泣かせたあげくに、俺が欲しいと言わせて、夜の公園に連れ込もうとしてる。これじゃあまるでやくざだ。我ながらひどい。公園に着いても、今日は絶対、何もしない、、わけにはいかないか。。何したら良いんだ?

 公園に着き、自転車を停めると、先に自転車を降りた彼女は俺のコートの背中を掴んだまま、俯いていた。何これ、むちゃくちゃ可愛いんですけど。いきなり心臓がばくばく跳ねる。でも、今日は絶対、彼女を大事にする。頼むぞ、俺の理性。

「もうちょっと奥にベンチがあったよね?」
ドキドキしながら、ベンチまで連れて行く途中、彼女は待ちきれないかのように俺の背中に抱きついて来た。
< 424 / 874 >

この作品をシェア

pagetop