坂道では自転車を降りて
「。。。エリちゃん、なんて言った?」
「エリちゃん??」
「愚痴聞いてもらったんだろ?」
「。。。。神井くん、怖そうなのに、どこがいいの?って。」
なんか言いにくそうだな。やめろとか言われたんだろうか。。
「なんて答えたの?」
「わかんないって。」
うわー、それもがっかり。。
「はぁ。。。」
ため息が出てしまった。。

「ため息つくと幸せが逃げるよとも言ってた。」
「エリちゃんが?君に?」
「うん。」
彼女も、ため息ばかりついてるんだ。。。

「俺もそうなんだ。自分で自分が制御できなくて、イライラして。でも、原に聞いてもらったら、ちょっと落ち着いたというか、、、」
なんで落ち着いたんだろう。結局ダメダメな自分を確認したようなもんだったのに。。
「ごめんなさい。本当は、君に迷惑かけたくないのに、上手く出来なくて。ごめんなさい。」
「いや、、迷惑では、ないんだけど。。本当に大丈夫?」
「。。。大丈夫。」

 俺は馬鹿だ。大丈夫?って聞かれたら、大丈夫って答えるしかないだろ。さっき大丈夫じゃないって言ったばっかりなのに。無理矢理、大丈夫って言わせてしまった。
「俺、どうしたらいい?」
「大丈夫。別に何もしなくていい。」
「無理しないで、言って。俺に甘えてよ。」
涙で濡れた赤い目。濡れた唇。頬も鼻も紅くして、いつもより幼く見える。この顔で、大丈夫とか言われると、けなげで可愛すぎて胸が苦しくなる。
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