坂道では自転車を降りて
「どうして欲しい?教えて。本当はどうして欲しいの?」
「。。。。抱きしめて。ぎゅっと。ぎゅーっと。」
「わかった。」
 ぎゅっと、ぎゅーっと抱きしめる。温かくて柔らかい身体が、必死に俺に抱きついて来る。どれだけ抱きしめたら、思いが伝わるんだろう。彼女を安心させてやれるんだろう。腕の中でしゃくり上げる彼女をどうしたらいいのかわからない。もっともっと俺でいっぱいにしてやりたい。そのまま髪に顔を埋めて、首筋に口づける。「ぁふっ」彼女が反応する。

「ちょっと、こっちおいで。」
彼女を、側にあった遊具の陰に連れ込んだ。壁に押し付けて、口づける。俺のすべてを注ぎ込むように、彼女のすべてを吸い上げるように、激しく。
「んんっ。」
彼女も必死に応じる。唇を塞いだまま、身体を押し付け密着させる。手は頬に首筋に触れながら、肩に腕に、次第に下ろして行く。一旦唇を解放した。

「ぷはっ。」
彼女は赤い目で、肩で息をしながら、必死に呼吸を整える。
今度は耳たぶを噛みながら、彼女の躯をなで回した。
「んっ」
コートの上からでも分かる柔らかく弾む躯。本当に可愛い。でも、胸やウエストがかろうじて判るくらいで、やっぱりちょっと物足りない。彼女は感じているみたいで、潤んだ目を閉じて、声を抑えようと息を止めて唇を噛む。そのうち酸欠になっちゃうんじゃないの?
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