坂道では自転車を降りて
「わかった。」
言いながら、口づける。口づけながら、指はシャツ越しに彼女の胸にそっと触れた。柔らかい。
「んふっ。」
口づけの隙間から、吐息が漏れた。彼女は目を閉じたまま顔を背けた。鎖骨から伸びる白い首筋が切なくなるくらい色っぽい。その首筋に口づけながら、手の中のふくらみを掴む。
「あはぁっ。」
彼女の手が思わず俺の手を掴み、小さく悲鳴をあげながら俺にしがみついた。でも、嫌とは言ってない。

「。。。。嫌? 止める?」
手を止めて、聞いてみる。
「や、めな、い。」
小さな声だけど、確かに言った。悲鳴のように切ない声。

俺の手がまた動き出す。
「ぃっんっ。。ぁ。。。」
彼女が首を振る。いいのか、嫌なのか、どっちなんだ?でも、さっき『やめない』って言った。小さな頭を掴んでこちらを向かせる。彼女の目には涙が溜っていた。
「かみぃ。。く。」
名を呼ぶ事も忘れてもう一度、深いキスをした。もう君を離すなんて無理だ。

 脚から力が抜けたのか、彼女がずるずると落下し始めた。脇に手を入れ抱き上げ、もう一度遊具に押し付ける。可愛い。このまま連れ帰って、全て奪ってしまいたくなる。

だめだ。目をぎゅっと閉じて、理性を呼び戻した。
「多恵、しっかり立って。」
顔を覗き込む。彼女は目を閉じたまま、ぐったりしている。
「大丈夫?ほら、俺に捉まって。」
脚に力が入らないのか。
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