坂道では自転車を降りて
「それより、活動で会えばいいじゃないか。一緒に帰れるし。」
「だって、からかわれるんだもん。」
彼女は困ったように言った。
「神井くんとあまり会わないようにしてるだけで、活動にはそこそこ出てるよ。」
確かに、あれは居心地悪いよな。とくに椎名がひどい。。俺が注意しても、ダメそうだし。それはもう仕方ないか。
「ふぅっ。」
これで一安心か。。思わず息を吐くと彼女が心配そうに見ていた。
「やっぱり、私、振り回してるね。迷惑?」
「そんなことはない。俺も、君の事あまり分かってあげられなくて、ごめん。でも、お互い様だろ。きっと。」
「うん。そうだね。」
彼女は確かめるように頷いて、最後に「ありがとう。」と笑顔を見せた。
あたりはすっかり暗くなっていた。今日も月が木の間から俺達を見ていた。俺達はまた自転車に乗った。