坂道では自転車を降りて
「分かる人には分かる。。。かもしれない。」
彼女は憮然とした顔をした。倉庫のドアをノックする音がした。
「神井?」
原だ。
「ちょっと入れてくれ。」
2人で顔を見合わせて、とりあえず入ってもらう。
「何?」
「ドーラン塗ったら?」
「あっ」
「?」
「気付いてたのか?」
「そうかなーとは思ってたんだけど、神井がすごい声出すから。」
「。。。。」
原には分かるのか。だったら、分かるやつは結構いるだろうな。
「なるほど。分かる人には分かるんだ。」
彼女は納得したようだ。
「持って来てやるよ。」
原は部室へ戻って、メイク道具の箱をとって来てくれた。戻ってくると原は
「どうせなら、神井に行ってもらえばよかった。」
と言った。何故だ?と思ったがまずは彼女だ。
「ありがとう。後は自分でやるよ。」
「自分じゃよく見えないだろ。」
「そうか。。。」
俺がやるしかないよな。
彼女はメイクボックスの鏡を覗き込み「ふーん。これがそうなんだ。」と言いながらため息をついていた。