坂道では自転車を降りて
 唖然としてしまった。こいつら、多恵が泣くまでからかったのか。そりゃあ、活動に出なくて当然だろう。自分よりデカい男に4人でよってたかってからかわれたら、身の危険を感じない方がどうかしている。こいつらバカか?

「で、俺にどうしろと?」
「しし、椎名に、はっきり言ったらどうですか?俺の彼女を苛めるなって。それで、大野先輩に活動にでるように言ってもらえませんか?」
「それで上手く行くと思ってんの?小学校の道徳の時間じゃないんだから。中学生日記だってもうちょっとマシだぞ。」
「でも、このままじゃ。」

 あまりの事にしばし思考回路が停止していたが、ムラムラと怒りが湧き上がる。だが、ここでこいつに喚いても無意味だ。落ち着け。俺は先輩。こいつは後輩。

「まずは、多恵がどうしたいか聞いてみないと。」
「?」
「俺が椎名を諭すなり脅すなりして、お前らが多恵をからかわなくなったとしてだよ、多恵はまたお前らと一緒にやりたいと思うかね?」
「あ、、」
「もう無理なんじゃないの?」
「。。。。う。。。」

「あいつだって、精一杯背伸びしてやってたんだ。女の子なんだぞ?男4人を従えて。ただ真面目なだけで、本当ならそんなことできる性格でもないのに。ぽっきり折れちゃったら、もう無理だろ。」
「本当に、折れちゃったんですか?」
「さあ、それは知らない。お前から見てどうよ?」
「わかりません。俺は、まだ一緒にやりたかったけど。。」
「だったら、お前が自分で引き止めればいいじゃないか。椎名を説得して、お前がみんなを纏めろよ。」
「そんなの俺には無理ですよ。」
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