坂道では自転車を降りて
「あいつら、多恵が泣くまでからかったのか。許せねぇ。もう絶対、辞めさせる。」
「演劇部をか?それは困るな。。」
原は他人ごとのように笑いながら言う。
「知るもんか。」
「神井だってしょっちゅう泣かせてるくせに。」
「。。。。う。。」
「なんとなーくそうかなとは思ってたけど。そこまでとは思わなかった。」
「何?原は知ってたわけ?」
「神井が、無頓着すぎなんじゃない?お前の彼女なのに。」
「そうだけど、俺そういうの苦手で。それに、こーゆー部内のトラブルを防ぐのは、部長の仕事なんじゃないの?」
「そうだな。今まで裏のことは大野さんに任せっぱなしだったから。」
「その多恵がトラブってないかは、誰が見とくんだよ。」
「神井?笑」
「俺に出来るわけないだろ。」
「だよな。大野さんは弱みを見せたがらないし。あいつらはお前の事が嫌いだし。俺だったな。ごめん。」
「そうなんだよ。最近やたらからかわれるし、言う事聞かねーし、あいつら俺に恨みでもあるのか?」
「そりゃあ、あるだろ。あいつらから大野さんを盗ったんだから。」
「。。。。。」
「実際には川村だったんだろうな。あいつらを上手いこと纏めて、トラブル未然に防いでたの。」
確かに、彼女は人見知りの割に、思った事をそのまま口にしてしまう。そういった事は上手いとは言えない。また川村か。