坂道では自転車を降りて
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 目を覚ました俺は、まだ夢の中にいるようだった。体中が汗でじっとりと濡れている。なんたってこんな夢。違う。あいつらはそんなことしない。そんなことあるわけが無い。

朝、陰鬱な気分で学校へ着くと北村さんが声をかけてきた。
「あの子にあんまり変な事しないでよ。」
「変な事って?」
「バス停で待ち伏せってストーカーじゃないの。それに、あんたの馬鹿げたスプレイ行動のことも。」
「スプレイ行動。。。」犬が電柱にするやつだ。縄張りを主張して。キスマークの事を言っているのだろう。
「終業式の日のことも聞いてるわよ。何も知らないジョーに、よくも学校でそんなことが出来たわね。」
「それは、もうしない。反省してます。」
「どうだか。」
「本当に、スミマセン。でもさ、、出来れば君が、少し教育してあげてくれないか?無邪気な顔でこう煽られると、こっちも我慢が限界で。」
「マテも出来ないの?犬、以下ね。」
 ぴしゃりと言われて二の句が継げなかった。北村さんの協力をとりつけるのは難しいみたいだ。なんでこんなに嫌われてしまったのか。いや、当然か。

 昼休み、椎名達も彼女も部室には現れなかった。少しホッとする。椎名を殴る資格が俺にあるのだろうか。考えながら、集まった生駒さんら一年と次回の本について話した。
 放課後は脚本について職員室に呼ばれた。今までは原が対応してくれていたのだが、今回は原がメインの演出だから、原が活動に遅れる訳にはいかない。俺が1人で行くハメになり、案の定、拗れて出遅れた。顧問も俺の事はよく分かってるので、去年ほどは長引かなかったが。。
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