坂道では自転車を降りて
「まあ、ゴタゴタはしてるわけね。俺達はもうすぐ引退するし、1年は実力つけて来てデカい顔し始めるころだよな。下のリスペクトがないと、上下関係が崩壊しちゃうよな。」
「崩壊してるって程でもないんだけどさ。もう彼女も辞めた方がいいんじゃないかって、俺は思うんだけど。本人は頑張るって。」
「辞めるのは早すぎだろ。本人なりに目標とか区切りもあるだろうし。」
「でも、俺は今回は役者だから、裏の雰囲気が、実際のところどんな感じなのか、わからなくて。心配なんだよ。」
「でも、彼女がかんばるって自分で言うなら、まだ大丈夫なんじゃない?見守ってやったら良いじゃん。それとも、何か無理してそうなの?」
「分からない。とくに無理する理由もなさそうだし。」
「心配しすぎると禿げるぞ。」
「そうなんだけど、、、なんか。。。一緒に活動してるメンツが男ばっかりなのも気になって。」
「ああそうか。文化部は男女関係なく一緒に活動するのか。」
「彼女以外、全員男なんだ。」
「。。。。」
「大丈夫かな?」
飯塚は呆れた顔をした。
「そんなことで部を辞めさせようとしてるのか?お前、馬鹿じゃねぇの?心配しすぎ。そんなの実際には聞いた事ないぜ。」
でも彼女は実際に一度、危ない目にあってる。悪い男じゃなかったけど、やはり怖い思いをしたはずだ。俺だって同類だ。結果的に上手くいっただけで、褒められたやり方じゃなかった。隙が多すぎるんだろうか。天然で鈍感だから?それともたまたまなのか?