坂道では自転車を降りて
また触れてもよいものなのか、ちょっと悩む。彼女はきっと良いというだろう。でも、実際に触れたら、また泣くかもしれない。何せ、全然分かってないのだ。
それに実際問題いつどこで?というのがある。俺達が2人きりになれる場所など、部室か、夜の公園くらいだ。1月の夜の公園はやっぱり寒かった。彼女が風邪をひいてしまう。となると部室か?
みんなどうしてるんだろう。自室に連れ込むのだろうか。いや、親にもつい先日、釘を指されたところだ。考えてみたら、先週の金曜にも公園へ行きキスしたばかりだ。キスマークだってまだ消えてない。なのに、もう何週間も触れてないような気がして、彼女に触りたくて仕方ない。どうしちゃったんだ、俺。
「何、黄昏れてんだよっ。気持ちワリィな。」
飯塚に頭をはたかれた。
「いって。何すんだよ。」
「なんか、最近お前変だぞ。隙だらけっていうか、ぼーっとしすぎ。そんなに好きなの?完全に溺れてるじゃん。」
こいつにまで言われるとは思わなかった。『振り回してる?』と心配そうに尋ねた彼女の顔が浮かぶ。
「。。。俺、そんなに変かな?」
「そんな叱られた子供みたいな顔すんなよ。お前らしくねぇ。その1年にはガツンと言ってやって、彼女とはさっさと一本キメちゃってスッキリしたらいいじゃん。」
一本キメるって、柔道じゃねえよ。
「それは、無理だよ、、彼女が。」
「でもお前、そのままじゃあ、しんどいだろ?」
「しんどい。かなり。」
「だったら、逆にちょっと距離を置くとか?」
「。。。。うん。」