坂道では自転車を降りて
「わかった。すまん。」
仁王立ちで俺を睨んでいる織田と、座って頭を垂れる俺。原の予言通りの展開になってしまった。だが、織田の言う事はどれも事実で、正論で、言い訳する気もおきない。
「で?俺に頼みって何ですか?」
「いや、、俺も悪かったんだけど、そーゆーのもっと早く教えてくれないか。俺だって彼女が心配なんだ。好きで負荷かけてる訳じゃない。」
「本当に?大野先輩の事、全然考えてないとしか思えませんよ。」
確かに自分の事だけでいっぱいいっぱいだった。
「本当に申し訳なかった。」
「だいたい川村先輩が逃げるからいけないんだ。みんな信じてたのに、突然辞めて。先輩達はみんな無責任だ。大野先輩にあれもこれも押し付けて。大野先輩だって、神井先輩に良い顔したかっただけだ。俺達の事なんか何も考えてない。」
確かにそのとおりだった。あれだけゴタゴタあったのに、裏方組を客観視する人間が不在だった。川村も抜けて、多恵だって容量オーバーだ。なのに役者に駆り出した。だったら裏方のサポートは、原と俺の仕事だったはずだ。
「。。。。。ごめん。」
もうそれしか言えなかった。
「あー。。。泣かせたのは俺達も悪かったと思ってます。神井先輩に言われなくても、俺達の大事な先輩ですから、俺達でなんとかします。泣かそうと思って泣かせた訳じゃないし、このまま辞めて欲しくなんかない。だから、神井先輩は余計なこと大野先輩に吹き込まないでください。まさか演劇部辞めろとか言ってませんよね?」
「それは言ってない。」
思ってたけど、確か本人には言ってない筈。