坂道では自転車を降りて

 俺がさんざん悩んで口にした言葉を、彼女は普通に声に出した。俺もなんだか恥ずかしがって言葉を濁すのが、馬鹿らしくなってきた。
「コ、、避妊したらできないよ。」
「でも100%じゃないって、学校で教わったよ。それに、神井くんは本当に私とセックスしたいの?」
 したいに決まってんだろ。と思ったけど、言えない。ってか、言外に彼女は俺としたくないって言ってるよな。すげーがっかりなんですが。。

「。。。。俺だって、まだ早いとは思ってるよ。でも、だったら、いつならいいと思ってる?」
「自立した大人になって、結婚して、子供が育てられるようになってからじゃないの?神井くん私と結婚するの?」
 確かに教科書にならそう書いてあるだろうけど、何時代の貞操観だよ。そりゃ。

「結婚なんて、まだ考えてないよ。」
「でしょ?私だって考えた事も無いよ。だから、しないよ。」
 君はそう言い切るけど、高校生だってやってるやつはやってるんだよ。知らないわけじゃないだろ?もしかしたらじゃなくても、北村さんは処女じゃないぞ。多分だけど。

「だったら、どこまでだったら許せる?」
「どこまでって、、」
「分からないだろ。知らないから。」
 俺達は既にキスとセックスの間の真ん中くらいまで来ちゃってるって、君は分かってるの?俺が君を抱く夢を、何回見たのか、知ってるのか?俺の夢の中で君が俺に何をされてるのか、君は全く知らないだろ。

 彼女は返事をしなかった。俯いて何かを考えていたが、やがてまた俺を見て言った。
「だったら教えて。何をするの?」
「え。。。。俺が、教えるの?」
「だめ?」
「だめじゃないけど。。」
なんか変だな。俺が教える事なのかな。。
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