坂道では自転車を降りて
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体育館へ向かう途中、昇降口で川村を見かけた。思わず目で追ってしまったら、あっちも気付いて目が合った。ほんの一秒程目を合わせると、川村は俺を無視して、靴に履き替え帰って行った。俺と笑い合う必要は全くないけど、多恵と川村も時々顔を合わせたりするのだろうか。多恵とはどんな感じなんだろう。仲良くして欲しくはないけど、こんな風にお互いを無視しているとしたら、なんだか切なくて申し訳ない気持ちになる。俺と付き合って、彼女はいろんなものを失ったんじゃないだろうか。俺はそれを上回るものを彼女に与えることができているだろうか。
「多恵は何学部が志望なの?」3年のクラス分けの為に進路調査があった。
「今の所、理学部物理学科。だから理科の一つは物理。もう一個は、普通化学なんだろうけど、私、地学や生物の方が得意なんだけどなぁ。」
川村が医学部に行くんだったら、理科は何をとるんだろう。生物と化学かな。彼女と同じクラスにはなる可能性は低いのかな。
「物理学科に行って将来、何になるの?」
「あまりちゃんと考えてない。大学では宇宙のこととか、相対論とかそういうのやりたい。けど、就職にはあまり繋がらないね。」
「JAXAとかに就職すれば?」
「そういうのって、そんなに沢山の人でやるようなことでもないでしょ。そこまで夢中でもないんだよね。興味がある程度で。就職はもうちょっと世の中の役に立ちそうなところにすると思うよ。大学行きながらゆっくり考えるよ。」
「そうなんだ。」
「神井くんは文章を書く仕事をするの?」
「できたらね。小説家や舞台脚本家にはあこがれるけど、出版社や新聞社で記事書いたりって仕事もあるし、放送作家とか、いろいろやりようはあるんだけど。」
「そういうのって、何学部の何学科になるの?」
「どこでもいいらしい。高卒でも。理学部や工学部を出てる作家も結構いるよ。」
「そうなんだ。」
「まだ、分からないな。全然関係ない仕事をするかも。」
体育館へ向かう途中、昇降口で川村を見かけた。思わず目で追ってしまったら、あっちも気付いて目が合った。ほんの一秒程目を合わせると、川村は俺を無視して、靴に履き替え帰って行った。俺と笑い合う必要は全くないけど、多恵と川村も時々顔を合わせたりするのだろうか。多恵とはどんな感じなんだろう。仲良くして欲しくはないけど、こんな風にお互いを無視しているとしたら、なんだか切なくて申し訳ない気持ちになる。俺と付き合って、彼女はいろんなものを失ったんじゃないだろうか。俺はそれを上回るものを彼女に与えることができているだろうか。
「多恵は何学部が志望なの?」3年のクラス分けの為に進路調査があった。
「今の所、理学部物理学科。だから理科の一つは物理。もう一個は、普通化学なんだろうけど、私、地学や生物の方が得意なんだけどなぁ。」
川村が医学部に行くんだったら、理科は何をとるんだろう。生物と化学かな。彼女と同じクラスにはなる可能性は低いのかな。
「物理学科に行って将来、何になるの?」
「あまりちゃんと考えてない。大学では宇宙のこととか、相対論とかそういうのやりたい。けど、就職にはあまり繋がらないね。」
「JAXAとかに就職すれば?」
「そういうのって、そんなに沢山の人でやるようなことでもないでしょ。そこまで夢中でもないんだよね。興味がある程度で。就職はもうちょっと世の中の役に立ちそうなところにすると思うよ。大学行きながらゆっくり考えるよ。」
「そうなんだ。」
「神井くんは文章を書く仕事をするの?」
「できたらね。小説家や舞台脚本家にはあこがれるけど、出版社や新聞社で記事書いたりって仕事もあるし、放送作家とか、いろいろやりようはあるんだけど。」
「そういうのって、何学部の何学科になるの?」
「どこでもいいらしい。高卒でも。理学部や工学部を出てる作家も結構いるよ。」
「そうなんだ。」
「まだ、分からないな。全然関係ない仕事をするかも。」