坂道では自転車を降りて
っていうか、彼女がアクセサリをつけてるの、見た事ないんだけど。ヘアゴムもいつもただの茶色いゴムだ。校則どおりといえばそうなのだが、カラフルな髪飾りをつけている女子は少なくない。
「残るモノは、後で処分に困るかもな。」
何やら実体験を伴うかのような原の物言いに、ちょっと複雑な気分になる。
「結局、お菓子が無難なのか。。でも、手作り貰ってるのに、買った菓子返すだけでいいのかな?」
「べつに良いんじゃないか。」
「えー、ダメだと思いますよ。だいたい、その辺で売ってるヤツって、全然先輩とイメージ合わないと思わない?」
「確かに。意味なく箱だけ可愛くて、中身少なくて、とくに美味しくもなさそうだし。無駄な消費を煽る社会に踊らされてるとか言われそう。」
確かにその通りだが、こいつらの多恵のイメージって、一体。
「あ、それと、先輩はネズミが嫌いですよ。趣味と合わないんだって。」
「ネズミ?」
「あの世界的に超有名キャラクターのネズミですよ。」
「ああ、あれね。へー、嫌いなんだ。覚えておこう。」
「むっちゃレアな高級菓子とかは?」
「全然、興味なさそうっていうか、あげてもありがたみが分からないんじゃないかな。」
「そうだな。甘いものよりおにぎりの方が良いとか言ってたし。」
そうだったのか。それも知らなかった。
「ブランドものにも同じ事が言えますね。」
「うん。全然知らないよな。」
ブランドものなんて、買う金ないけどな。
「デザインより機能。質実剛健!女子なのに!」
後輩達がまた腹を抱えてゲラゲラ笑う。