坂道では自転車を降りて

「確かに。改めて考えると難しいですね。」
「でもお菓子もあれば普通に食べてますよ。食いしん坊だから。」
「先輩が食べる前になくなっちゃったりすると、黙ってるけど、静かに怒ってるよな。」
「怒ってる。しかも結構、根に持ってる。」
「そうそう。」
「そうなんだ。」

「共通の趣味とかないんですか?」
「演劇と、、あと読書か。。でも本の趣味はあまり被らないみたいなんだ。そうか。。本ね。本も良いかな。」
 今まで薦めた本は、素直に読んだし、そこそこ楽しそうではあったけど、夢中になって読んでいる感じではない。これはこれで選ぶのが難しそうだ。

「うわ。先輩達、優等生を絵に描いたみたいな付き合いですね。」
「いや、逆に不健全というか、オタクっぽくない?」
勝手な事を言い合いながら、みんなゲラゲラ笑った。
「。。。。。もういいや。なんか、わかった。ありがとう。」

 結局、彼女には何をあげてもそれなりの反応しか期待できないような気がした。だったら俺があげたいものをあげたら良いんだ。俺は、、俺しか知らない彼女に、何かあげたいんだ。俺の前だけで、俺に甘える、拗ねてすぐ泣く彼女に。女の子で良かったって言ってくれた彼女に。でも、何を?
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