坂道では自転車を降りて
さすが俺の彼女だ。

 部室に着くと、先に戻った高橋と藤沢、織田、椎名と、裏の一年が勢揃いして、寝ている彼女の回りに集まっていた。備品の衣装は外されて、コートと俺の上着だけになっていた。白雪姫と小人のようだ。
「なにやってんの?」
勝手に掘り起こすなよ。いたずらとかしてないだろうな。
「部品、ほぼできたんです。そろそろ組み立てなんで、起きないかなーって。」
「まだ1時間くらいしか寝てないだろ。起こさないと起きないと思うぞ。」
「起こして良いですか?」
「起こせよ。役者達も戻ってくるし、組み立てるんだろ?」

「先輩が起こしてくださいよ。」
「分かってる。。。大野さん。起きて。」
 肩を揺するが、まだ目覚める様子はない。しばらく声をかけたり揺すったりしたが、埒が明かないので、俺は無理矢理、彼女の躯を起こして座らせた。彼女の躯はまだぐにゃぐにゃで、俺にもたれかかってくる。後ろで、カシャッと音がした。

「今、何した?」
「。。。。」
彼女をソファのほうに倒して、俺は後ろをみた。彼女は目を覚ましつつあるようで、もぞもぞ動き始めた。
「今、誰か写真撮っただろ。どうするつもりだ。その写真で、こいつがどんだけ嫌な思いをするのか、分かってやってるのか?」
「。。。。」
みんな黙ってしまった。

「こんなところで、無防備に寝てれば、つい、いたずらしたくなるお前らの気持ちもわからないでもないよ。けど、こいつが疲れて寝ちゃったのは、こいつのせいじゃないし、お前らを信頼してるから、ここで寝てられるんだろ?」
「。。。。。あ、起きました。」

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