坂道では自転車を降りて
「あれ、どうしたの?」
彼女が目覚めてこちらを見た。
「。。。。そろそろ組み立てられます。見てもらえませんか?」
高橋が答える。
「あたしいつの間に寝てた?ごめん。すぐ戻るよ。織田くんも起きたの?私だけ寝ちゃってて、ごめんね。」
彼女は眠気でほてった頬を両手で叩きながら、目をしばたかせた。

「神井くん、なんでここにいるの?なんか怒ってる?」
「いや、君に怒ってるんじゃない。もういい。作業に戻ろう。」
「あまりこの子達を苛めないでよ。みんなすごく頑張ってるよ。」
こいつは、、、誰の為に怒ってると思ってんだ。思わず彼女を睨んでしまった。
「ごめん。リハは?」
「もう終わったよ。」
彼女がため息をついた。俺はいたたまれなくなって、目を逸らした。

 組み立ては、手順をよく考えてあったのか、スムーズだったが、何しろ神経を使うし、作業量が多い。皆真剣に黙々と取り組んだ。俺と原も残り、柱を押さえたり、部品を運んだりを手伝った。途中生駒さんが、コンビニで買ったおにぎりを差し入れてくれたが、皆、休む気になれず、食べながら作業を続けた。生駒さんは申し訳なさそうな顔で、しばらく回りをうろうろしていたので、多恵が声をかけた。

「大丈夫。明日までには絶対間に合うから。生駒さんはもう帰って寝て。そして明日、頑張って。これで生駒さんがとちったりしたら、私たちが頑張ってる意味がなくなる。ね。あと、おにぎりありがとう。」
「はい。。。。神井先輩は?」
「そうだ、神井くんも明日出番があるじゃん。もう帰ったら?」
真顔で君にそういわれると、返す言葉がない。腹立つなぁ。君が心配だからここにいるんだろ。わからないのか?
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