坂道では自転車を降りて
二次会はハンバーガーショップだった。彼女はかなり渋っていたが、帰るなら家まで送ると言ったら、ついて来てくれた。3年の女子達と和やかに話している。俺の目の前には織田と椎名がいた。
「神井先輩にはこれがオススメです。」
織田の出した画面には、金槌を片手に釘を打っている彼女が写っていた。髪を後ろで束ねて唇が尖ってる。真剣な時の彼女だ。さすが写真部だ。生き生きとした表情、真剣な瞳に吸い込まれそうだ。もっと恥ずかしい写真を想像していた俺は、ちょっと拍子抜けしたが、これくらいなら、譲ってもらうのも悪くない。
「それとも、先輩はやっぱりこれくらいを期待してました?」
案の定、2枚目は無防備にソファで眠る彼女だった。柔らかな頬に触れそうなくらいキレイに撮れている。思わず欲しいと言いたくなる。
「一枚目はともかく、二枚目は消せ。」
「えー、可愛いじゃないですか。先輩は欲しくないんですか?」
悪びれずに言う織田に、椎名が横やりを入れた。
「神井先輩になんか見せたら、消せって言われるに決まってんだろ。やめとけよ。」
だが、織田はまったく動じず、俺の顔をみた。
「あぁそっかぁ。先輩ならこれくらい、いつでも撮れますもんねぇ。自分で。」こんな写真、俺だって撮れる訳がない。見透かされたように言われる。
「あとはこれとか。。これは俺じゃなくて藤沢が撮ったんです。暗かったから、ちょっとブレちゃってますね。」
工具箱を枕に寝ている写真だ。残念な事に、うつぶせで顔が半分も写っていないが、オーバーオールでくたりと倒れた身体は、思わず抱きしめたくなる。彼女自身の思い出としてはピカイチの写真になるだろう。
「。。。。。」