坂道では自転車を降りて
帰り、彼女は電車で帰ると言ったので、俺も自転車を置いて電車で帰る事にした。
「織田に、俺の写真頼んだの?」
「えっ。あぁ。うん。」
やっぱりそうなんだ。
「写真、欲しかったんだ。言ってくれたらよかったのに。」
「でも、前、撮ろうとしたら、嫌そうだったから。それに織田くん上手だし。」
「そうだけど。。」
そうだよな。撮らせてくれって言われて、素直に撮らせる自分は想像できない。待ち受けなんかにされた日には死にたくなるだろう。でも、織田に頼まなくったって。
「まあ、いいか。今度見せてよ。」
俺も同罪だし。
「えっ。。。」
何故かびっくりしている。なんかまずいのか?
「ああ、こっ、今度ね。まだ貰ってないから。」
まあいいか。俺も彼女の写真が送られてくるのは楽しみだが、本人に見せるつもりはなかった。知らなくていいこともあるかもしれない。
「。。。。」
お互い気まずいのか無言になった。彼女は俺が彼女の写真を織田に貰った事を知らないはずだ。
駅のホームについた。電車で一緒に帰るのは久しぶりだな。となりに並んで電車を待つ。ラッシュは一段落していた。手を繋ぎたくなって、そっと彼女の腕に触れると、彼女はびっくりした様子で腕を逃がし、目をぱちくりさせて俺を見た。