坂道では自転車を降りて
その夜 織田に電話をかけると、織田は二つ返事でOKした。
「先輩は出来れば少し色目のハッキリした服を着て来てくださいよ。大野先輩は明るい色の服で来るはずなんで。間違っても野暮ったいチェックとか着てこないで下さいね。」
「ちょっと待て、俺を撮らせるなんて言ってないぞ。」
それに彼女は明るい色って、同じ画面に納まれって言うのか?
「いいから、いいから。先輩ばっくれないでくださいね。」
「やっぱり、俺は止める。行かない。」
「そしたら、大野先輩と今西にポーズとらせて撮りますけど、良いんですか?」
「今西って誰だよ。」
「写真部の2年です。あいつ、大野先輩を狙ってるんです。結構イケメンで、女の子をおだててその気にさせるのが上手いんですよ。大野先輩とどんな格好してもらおうかな~。」
「そんなの多恵が許すわけないだろ。」
「そうですかね。分かりませんよ。」
本当は、俺もそう思ってるよ。押し倒されてもキョトンとしてそうだ。あいつの天然には困ったもんだ。
「それに、、神井先輩には4枚もサービスしたじゃないですか。大野先輩に話しても良いですか?」
これって立派な脅迫じゃないか?まさか、多恵もそうやって脅されたんじゃないだろうな。何にしても織田や今西ってヤツに出し抜かれるわけにはいかない。ってか、多恵は本当に行かなくちゃいけないのか?