坂道では自転車を降りて

「どお?」
撮れた写真を今西に見せる。
「恥ずかしいです。」
「そうじゃなくて、写真としてどう?今西くんも写真部なんでしょ?」
「あぁ、、あ、あの、えーと。見せていただきます。」
「神井くんも一緒に聞いたら?」
「あぁ、そうだな。。」
俺は彼女の後ろに立って一緒に画面を眺めた。
「スナップなら、これで十分だと思います。構図も良いし、光の方向もちゃんとしてます。順光の方が表情はとらえやすいですよね。もう昼なのでちょっと陰が濃いですね。日差しの強い時間や時期には強制的にフラッシュ焚くと陰が薄くなりますが、難しいです。後でコントラストを加工したほうが無難かな。この写真では必要ないけど、露出補正のやり方は分かります?」
「一応。。そういえばさ。」

彼女はさっき撮った俺の写真まで戻ってみせた。
「こーゆーとこがブレるのはどうしたら良いの?」
「動くモノをブレずに撮るには、流し取りという方法と、シャッタースピードを上げる方法があります。流し取りは動くものをカメラで追って撮る方法で、背景がぶれますが、躍動感が出ますし、対象物が浮き出てカッコいいです。でもなかなか上手く撮れません。先輩のカメラはある程度までなら、自動で追ってくれるはずです。スポーツモードとかあるでしょ?」
「ああ、これか。」
「でも、これは手だけがぶれてるから、シャッタースピードを速くして、絞りを△×◎◇××。多少△×◎◇××、ISOを△◎◇×。先輩のはレンズが小さいから○△×◎◇××△×◎◇×。光量が△×◎◇××。」俺には理解できない会話が続いた。
「それは仕方ないよ。フルサイズは高いもの。重いし。」
「一般に絞りを開けると焦点深度が○×△××◎ので、ピントはしっかり。ちゃんとピントが合えば、背景がぼけて人物が浮き上がって、いい感じになりますよ。レンズが小さい方が被写△×◎◇×は深いからピントは合わせやすいはずですよ。」
「え、そうなの。あ、そうか。絞ったのと似た感じになる訳ね。確かにそうだね。」
「ピント合わせは×△×◎◇より×△××◎で撮った方が最終的にはいいですよ。練習が要りますけど。」
「私は絵に起こすために撮るから、背景も暗いのもあまり気にならないの。△×◎◇×と、○×△×◎ね。練習してみるわ。」
今の話を彼女は理解できたのか。俺は半分も解らなかったぞ。
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