坂道では自転車を降りて
「どしたの?」
「えっ。」
「写真、面白くない?」
「あ、えーと。。その。なんか落ち着かなくて。」
「。。。うん。そうだね。。ねぇ、写真はこのままコピーしておくから、部屋の中、見ても良い?」
「あー。。。」
「やっぱりまずい?」
「いや、まあ。いいけど。。」
「あとね。。」
「何?」
「やっぱり、ドア、締めてもいいかな?」
「きっ。君が、良いなら。」
彼女は自分ではドアを閉めずに、机から離れて窓の外を眺めた。庭と通りが見えるはずだ。俺は静かにドアを閉めた。自分で閉めるって言ったんだから、キスくらいしたって良いんだよな。立ったまま彼女の様子を眺めていると、彼女は窓の外を眺めながら二言三言コメントすると、今度は俺の前を素通りして、ドアの裏にあった本棚の前に立ち、本を眺め始めた。
「本は買うより借りて読むの?」
「だな。読みたいの全部買ってたら、金がいくらあっても足りないし。」
俺は彼女の肩に手をかけた。彼女は何の反応もない。
「なんか、脈絡がないね。」
こっちを向かせようとすると、抵抗したので、後ろから抱き締めた。彼女は真っ直ぐに立って、本棚から視線を外さない。そんなに本棚が気になるのか?