坂道では自転車を降りて
本当だ。ハイウエストの上品なロングスカートは彼女にすごくよく似合っていて、立った姿も座った姿も素敵だと思っていた。でも、そういう観点で見てなかった。俺が先週、自分で頼んだんだった。
「まあいいや。今日は帰るよ。また来ていい?」
「いやいや、待って。やっぱり待って。」
「今日はありがとう。また一緒に勉強しよう。」
彼女は部屋を出ようとドアに手をかけた。ゆっくり内側に向かって開いたドアを俺は手で押し戻した。バタンとドアが閉まって、彼女が振り向く。俺は彼女を抱き締めた。彼女は何も言わず、何もせず、ただ立っていた。
「やっぱり、ちょっとだけ、いい?」
「だめ。もう帰るから。」
俺がかがんで顔を覗き込むと、彼女は俺を避けるように俯いた。
「多恵。。キスさせて。」
「キスだけだよ。」
「ごめん。拗ねるなよ。」
「拗ねてないよ。」
「このスカート、似合うよ。すごく。」
「気付いてなかったくせに。」
「気付いてなかった訳じゃないよ。それに、ごめんって言ってるじゃん。」
「これ楽なんだ。床に座る時は特に。ジーンズみたいに締め付けないし、脚崩してもバレないしね。」
「へぇ。」
「それだけだよ。」
「そっか。」
そんなこと言われても、俺はもう触りたくなっちゃったんですが。。