坂道では自転車を降りて

 次の日の昼休み、図書室で会った彼女はいつも通りにしていて、なんだかホッとした。コロコロ笑ういつも通りの笑顔。いつも通りの会話。放課後に彼女のクラスへ行くと鞄を持って笑顔で出て来た。今日は水曜だ。

 自転車を押して歩きながら、校門を出る。昨日の事を聞こうか、少し迷う。昼休みに聞かなかったのは、聞いたら、拗れるような予感があったから。どうして、彼女は何でも隠したがるんだろう。

「今日は、体調は大丈夫?」
「うん。大丈夫だよ。うん。」
「学校に残ってて良かったよ。」
あんな状態の彼女を1人で帰らせるのは論外だが、織田が送るとか言う事になってたら、やっぱり嫌だったと思う。俺はひとり納得してたけど、彼女は同意しかねる様子だった。

「私ね、ほぼ皆勤賞なんだよ。小学校1年の時に一回、インフルエンザで休んだだけなの。その後一回も学校休んでないの。すごいでしょ?」
「へー。実は丈夫なんだ。」
「体力には自信あるよ。根性はないけど。」
「なんか、しょっちゅう貧血で倒れてるイメージだった。」
「織田くんが大げさなんだよ。ひとりでだって帰れたのに。」

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