坂道では自転車を降りて
俺が知ってるだけで、気分が悪くなった君の話は、今回で3回目だ。そのうちの2回に織田が絡んでる。偶然なのか?
「昨日、何かあったの?」
「何が?」
「なんか、いろいろ辻褄が合わないし。様子が変だった。何があったのか、聞いても良いかな?」
「。。。。」
「織田も様子がおかしかった。告白でもされた?」
多恵は驚いて目を丸くした。
「告白なんてされてないよ。何もないよ。」
「君を呼び出したのは今西なんだよね?沼田もいたのか。4人で何をしてたの?」
「あれ、織田くん何て言ってたっけ?」
「写真を見てたって。」
「そうそう。そうだった。」
なんだよそれ。バカにしてるのか?
「多恵。」
たしなめるように言うと、突然彼女の脚が止まって、呼吸が速くなった。すごく緊張しているように見える。
「写真を見てたら、途中で気分が悪くなって、、保健室に行った。」
木で鼻を括るような受け答え。だが、苦しそうに息を吐いて、声が震えていて、明らかに動揺してる。いつもはもっとしれっと嘘をつくのに、どうしてこんなに動揺してるんだろう。