坂道では自転車を降りて
「え。じゃあなに?今西と多恵が2人だけで写真部の部室にいたってこと?あいつらそんなに親しかったの?っていうか多恵はなんでそんな事許してたの?」
「違います。それは絶対に違います。だって、あの日がほぼ初対面だし。大野先輩の方は、知り合いくらいに思ってたと思います。多分、今西が強引に頼んだのか、もしかしたら騙したか、脅したりして呼び出したんだと思います。今西の一方的な執着というか、ストーキングです。電話番号だって知らなかったし。」
「無理矢理ってこと?」
「そうです。」
「今西が教室に何度も来て迷惑してたって、そういうこと?」
「はい。」
「お前は?関係ないの?」
「ないです。いや、なくはないか。。あの日、神井先輩が大野先輩を探してたし、今西も様子が変だったから、なんか嫌な予感がして、俺も大野先輩を捜しに行ったんです。」
「。。わかった。それで。」
すでに目つきがすごい事になってたけど、先輩はなんとか黙って、先を促した。
「俺と沼田先輩が部室へ行ったら、今西の後ろで、大野先輩が、その、床にうずくまってて。」
先輩の顔はさらに険しくなった。真っ赤になって拳を握っている。
「大野先輩は意識はあったんですが、ぐったりっていうか、放心状態で。」
「床にうずくまってたの?」「はい。」
「放心状態って、多恵がだよな?」「はい。」
「今西と多恵と2人しかいない部室で、多恵が床に倒れてぐったりしてたの?」
「はい。」
神井先輩は目眩がしたみたいで、机に手をついた。
「たっ、多恵は、親しくもない、なんだかよくわからんやつに、部室に連れて行かれて、写真撮られて、、、、逃げようとしたからって、らら、ら乱暴されて、ぐったりして床に倒れてたって。そういうこと?」
「多分。」