坂道では自転車を降りて
「大野さんは処女だよな。」
下品な事を言うやつだな。
「そりゃ、そうだろう。」
でも答える。
「変わっちゃうかな。。」
川村は寂しそうに言った。
「かもな。」
俺もそれしか言えなかった。
「俺、先輩と大野さん見ててさ、すごいなって。付き合ってないのに、男と女で、こんなにお互いを信頼できるんだって。いつも、ふたりで協力して、相手を思いやって、補い合ってて。俺の付き合う女なんてさ、話合わしてやってりゃあ、そりゃ可愛いんだけど、結局、あれしてほしいとか、寂しいとか、そんなんばっかりで。」
「そりゃ、部活と恋愛は違うだろ。好きな相手には甘えたり、わがまま言ったり、自分を分かってほしいって思うのが恋人なんじゃないの?」
「やっぱりお前、うざいな。童貞のくせに。」
「お前こそ、分かってねーじゃん。」
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