坂道では自転車を降りて
放課後は結局一緒には帰れなかった。俯いたまま逃げるように帰る彼女と一瞬目が合ったけど、声をかけられなかった。下駄箱を覗くと、手紙も石もなくなっていた。返事もなかった。
やばいぞ。なりふり構っていられる場合ではなくなってきた。夜、織田が何か聞いていないかと思い連絡してみたが、織田に対しても似たような対応らしく、何も話してくれなかったと言う。
「先輩、何か話したそうだった。でも、結局何も話してくれなかった。怒ってたのかもしれない。俺が、、余計な事したから。」
「俺にも、何も話してくれないんだ。」
「そういえば、なんか変な事言ってました。」
「何って言ってた。」
「今西に謝っといてくれって。神井先輩が殴った事ですかね?」
「なんで、あいつに謝らなきゃなんないんだよ。」
「俺もそう思いますけど。そうだ。友達は?北村さんなら何か知ってるかも。」
北村さんか。確かに、何か聞いているかもしれない。もし何も知らなかったとしても、北村さんには話をしておいた方がいいかもしれない。彼女の為にも。