坂道では自転車を降りて
自転車の向こう側を歩いている彼女に向かって手を伸ばすと、自転車ごと倒れそうになった。なんなんだよ。この邪魔な自転車は。彼女は黙って歩き続け、追いかけても追いかけても手が届かない。何の進展も無い会話に、黙り込む彼女にいいかげんキレそうだ。
「わかったよ。そんなに言うなら別れよう。たった今から、君とは無関係だ。」
俺は、イチカバチかの賭けに出た。
「。。。。。」
振り返った彼女の胸がドクンと音をたてたような気がした。俺の心臓も早鐘のように鳴っている。
「これで、気が済むんだろ?」
「うん。」
怒りを含んだ俺の問いかけに、抜け殻のように生気のない声で答えた彼女は、すでに無表情だった。それでも泣いたりはしない。
「言っとくけど、俺は勉強なんかしないぜ。できるわけないだろ。そんなふうに、何もかも隠されて。。傷ついているのは自分だけだと思うなよ。」
彼女の顔が悲しそうに歪む。こんな風に責めるから、彼女は俺に怯えて、逃げたくなっているんだ。分かっているのに、俺には他にどうしたら良いのかがわからない。
「君は知らないかもしれないけど、俺だってそれなりにモテてるよ。いくらでも遊び相手はいるし、彼女だって他に作ろうと思えば、すぐにできる。もう別れたんだから、いいんだよね?俺が他の女の子と付き合おうが、学校をサボろうが、何をしても、君には関係ないよな。」
「それは、、、そうだね。もっとしっかりしてて、可愛くて優しい女の子と付き合ってくれたら、ついでに勉強もしてくれたら、私も安心。」
自分で自分を傷つけて、血だらけになりながら、不自然な笑顔を俺に向ける。この顔、嫌いだ。