坂道では自転車を降りて
「君が俺に失望したのは、仕方ないと思ってる。俺は君が傷ついて優しくして欲しかった時に、優しく出来なかった。本当にごめん。だから、それが許せないって言うんだったら、それはもう仕方ないと思う。でも、言い訳かもしれないけど、知らなかったんだ。気付かなかったんだ。本当はいつだって君を守りたいと思ってるんだ。それは、分かってくれてるよね?すぐには上手く出来ないかもしれないけど、がんばるから。。」
「俺は君に振り回されてるなんて思ってないし、振り回されていたとしても、いいんだ。君が好きで一緒にいたくて振り回されてるんだから。」
「君が辛い目にあったのに、それを俺に隠そうとしたのは、俺だって傷ついた。ショックだった。でも、俺が怒ると思ったんだよね?実際、俺は怒ってた。君と織田に嫉妬してたんだ。本当にごめん。もう許しては貰えないのかな?」
彼女は何も答えなかった。何か言い忘れた事はないか、探したけど、これ以上は何を言っても、うざいだけで、何も変わらないような気がした。
あと俺にできることは、黙ってできるだけ静かに待つ事だけだった。
「送っていくから、帰りたくなったら言って。」
彼女は俺のシャツをかぶったまま、またしくしくと泣き始めた。