坂道では自転車を降りて

「のどが乾いた。」
「そうだな。お茶のお代わり貰って来るよ。」
 彼女を降ろして、俺は立ち上がった。彼女もダルそうに移動して、今度は座卓にうつぶせた。彼女を残して部屋を出る。お茶は口実だ。さっきの声が母さんに聞こえてないか気になるし、トイレにも行きたかった。元気なジョニーをなんとかしないと。

 階下に母さんはいなかった。買い物にでも行ったのか。トイレを済ませて、自分でお茶のおかわりを用意していたら、2階から兄が降りて来た。嘘だろ。隣の部屋にいたってことか?
「兄ちゃんいたの?」
「いたよ。笑。」
この顔、完全に聞かれた。
「え、朝いなかったじゃん。大学行ったんじゃなかったの?母さんは?」
「買い物。ずいぶん前に出てったよ。そろそろ戻る頃だ。」
「そう。」
母さんはセーフだったのだろうか。

「俺は別にいいけどさ、母さんには聞かれない方がいいんじゃないか?」
「そうだね。」
「相変わらず、生意気だな。まだ高校生の癖に。」
「。。。。」
「そんなことしてて、彼女もお前も大丈夫なの?それともそういう子なの?」
「何が?」
「同級生ってことは受験生なんだろ?真面目そうな子だって聞いてるけど。まあ、傍から見れば、お前だって十分真面目だけどな。」
大丈夫ってそういう意味か。確かに、彼女の方は全然大丈夫じゃない。

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