坂道では自転車を降りて
 役者の先輩達の挨拶が終わり、鈴木先輩が立ち上がる。挨拶が終わると、川村から花が渡された。なんとなくここまで誰もが異性を指名していたので、ここで男を指名するか?お前らゲイか?と周囲からヤジが飛んだが、先輩も川村もあまり取り合わなかった。

 また横になっている大野さんをみた。鈴木先輩は大野さんを指名したのだろう。容易に想像できた。スカートからのびる脚。小さな足に履いた白い靴下がまぶしくてクラクラする。真っ赤な耳たぶ。襟元から覗く首筋も紅く染まっている。本当に家に連絡しなくて、大丈夫なんだろうか。

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