坂道では自転車を降りて
「独りでいると、あなたの事ばかり考えてしまって、何も手につかなくて。不安で。勉強もちっともやる気がしないというか、進まなくて。どうしたらいいのか、わからなくて。」
「わかった。どうしたら良いか、俺もすぐには分からないけど、大丈夫だ。2人で考えよう。それに俺に話しただけでも、少しスッキリしたろ?」
「。。。。う、ん。」あまりスッキリしてないみたいだな。
「何でも話そうよ。溜め込んで不安になるより。ね。」
「わかるけど、、。」
ふぅ。前途多難だ。ため息をついて窓の外を見ると、日差しは弱くなっていた。少し遅くなったな。もう帰さないといけない。腕の中の彼女は不安そうな顔で俺をみた。
「神井くん、怖い顔。」
「これはこういう顔なんだよ。いいかげん慣れてよ。本当に怒ってないんだ。」
「違うよ。いつもより怖いというか、難しい顔してる。ような気がする。」
それはそうかもしれないが。。
「ごめんね。私、馬鹿で。」
俺は努めて明るい顔で笑いかけた。彼女が不安にならないように。
「多恵、キスしてもいい?」
「え?うん。」軽く口づける。
「頑張ったご褒美ね。」
「うん。」
言いながら今度はもっと深く。
「うん。」