坂道では自転車を降りて

 お開きになると、一度、鈴木先輩が来てくれたが、清水先輩が噛み付いて追い返してしまった。鈴木先輩は川村に後を頼んで退散した。清水先輩の元にも沢山の部員が来たが、清水先輩は上手にさばいてみんな帰してしまった。部員が解散して、お店の人が皿を片付け始めた横で、俺たちは彼女を起こした。

 起き上がった彼女は、頭が痛いといいながらも、意識はハッキリしていた。清水先輩は送って行くと主張したが、彼女はもう遅いからと言う理由で断固として受け入れなかった。結局、俺と一緒に帰ることになった。
「変なことしたら、承知しないからね。」
清水先輩が俺を睨む目の怖かったこと。

「やっぱり、ああいうところ、苦手。」
電車を待ちながら、大野多恵が言う。
俺はばか騒ぎも結構好きなのだが、彼女は加減がわからなくて疲れるのだろう。

「お酒飲んだことないの?普通、気付かない?」
「お酒はオトソしか飲んだことない。全然気付かなかった。なんか変な匂いがするというか、苦くて美味しくなかったんだけど、お店着いたばかりで喉が乾いてて。ポカリかなんかだと思って、ごくごく飲んじゃって。」
「。。。。。」
 彼女の親は酒を飲まないのだろうか。こんだけ弱い彼女の親だから飲めないのかもしれないな。いくら未成年だからって、普通なら一杯飲んだくらいじゃ、あんなにならないはずだ。
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