坂道では自転車を降りて
「君の話は分かった。そこに関しては俺が全面的に悪い。認める。」
「だったら、さっさと別れなさいよ。」
「でも別れない。別れられない。無理なんだ。俺も、彼女も。」
「。。。。。」
「だから、頼むよ。協力してくれないか?ただでさえ、何も知らないんだ。彼女には、そういった知識が絶対的に不足している。それを親友の君にも相談できなかったら、あの子はどうしたら良いんだよ。そうだろ?親友の君に反対された時の彼女の気持ちを、どうか考えてやってくれないか?」
「ずいぶん、自分にばかり都合が良い事を言うじゃない。」
「彼女は俺が支える。勉強も俺がやらせる。本当に彼女に触れない方がいいのなら、卒業するまでもう指一本触れない。でも、別れない。」
「それこそ拷問じゃないの。多恵はあんたが好きなのよ?自分を見失ってしまう程に。」
「分かってるよ。だから、協力してくれ。君の知ってる彼女を教えてくれ。俺はどうしたらいいのか、君の考えを聞かせて欲しい。」
「言われなくてもそうするわよ。だから電話してるんでしょ。」
「え?」でも今、別れろって。
「別れられないんでしょ?あんたが多恵を追いかけ続けるなら、私がこれ以上反対しても、多恵が可哀想じゃないの。」
ふん!と大きな鼻息を吐いて、北村さんは俺と彼女のために、協力してくれると言った。
「。。。。ありがとう。」