坂道では自転車を降りて
「いい?」
もう一度訊ねると、困って俯いてしまった。頷いたのかな?頷いた事にしていいよな。心を決めて、彼女の肩を抱き促した。俺の顔は絶対デレデレしてたと思うけど、もうそんなこと気にする余裕もなく彼女を部屋へ連れて行き、部屋に入るとすぐに唇を重ねた。髪と同じ塩素の匂いの中に、いつもと違う甘い匂いがする。かき氷かもしれない。
「ん。ん。」
キスをしながら、抱き寄せた身体を少しずつ後退させて、ゆっくりとベッドに倒す。
「神井くんどうしたの?」
「来年は可愛い水着を買って、2人だけで海に行こう。ね。」
「いいよ。今日は楽しかったね。」
「ねぇ、これ以上、他のヤツに君の水着姿を見せないでよ。」
「だって、神井くんが行こうって誘ったんだよ。それに海に行けば、誰かしら人はいるよ。」
「だから2人だけの海に行こう。」
「そんなところあるわけないじゃん。どこの大富豪だよ。」
「そうだな。」
「へんな神井くん。」
変でもいいんだ。好きだから独り占めしたいんだ。自然なことだろう?
彼女の上にのしかかりながら、聡明そうなおでこに、情の深そうなぷっくりした唇に、感じやすい首筋に、可愛い鼻に、赤くほてった頬に、ありとあらゆるところにキスの雨を降らせ、舐め回した。
「んぷぅんん。」
困った顔で逃げ回る彼女を捕まえて、座った脚の間に納める。後ろから抱き締めて耳を甘噛みすると、ふるふると震えた。柔らかい身体が困って暴れる感触が気持ちよくてたまらない。もっともっと苛めて声を上げさせて、俺が好きって、大好きって言わせたい。