坂道では自転車を降りて
「そこはくすぐったいよ。」
俺が笑うと、彼女もいたずらな顔で微笑んだ。
「こうすると気持ちいいんだ。」
教えてやると、彼女は俺に従って手を動かした。
「そんなに力、込めなくていい。痛いよ。」
「ご、ごめん。」
「そう、そこも。う。あ。気持ちいい。すごく。」
彼女は何をやらせてもカンがいい。俺の顔色を見ながら勝手に工夫しはじめ、あっという間に俺を天に昇らせた。
「多恵。多恵。あっ、でる。」
俺は彼女の名を呼びながら、彼女の細くて柔らかな手の中で達した。
「うわっ。なんか。」
彼女が慌てている。子供みたいな反応に笑ってしまう。とっさに手近にあったタオルでくるんだので、服は汚さずに済んだけど、彼女の手は俺の白濁した分泌物にまみれている。
「なんか熱いの出た。うえーっ。ベタベタだぁ。どうすんのこれ。」
照れ隠しなのか、笑いながら言う。俺もつられて笑った。
「うーむ。これが精子か。見かけ液体だけど。顕微鏡で見たら全部あれなの?それとも潤滑液的なモノも混ざってるの?」
そんなの俺に聞いても知らないよ。でも、油断してると持ち帰って観察されそうだ。理科室の顕微鏡の前で白衣で微笑む彼女が脳裏をよぎる。顕微鏡の上のシャーレには俺のアレだなんて、冗談がキツすぎる。
「うぇ、へんな匂い。」
「匂いなんか嗅がなくていいよ。ばか。」
彼女の手をタオルで拭ってやる。ホントに変な彼女だよな。